"2000年代半ばまでには、サッカー界のデータ専門家にとって都合の悪いことが判明した。どうやら彼らは何年も使い物にならないデータを信じていたらしい。どこの業界でも、みなとりあえず手に入るデータを使う。データ会社は当初、選手のパスやタックルの数、走行距離を測定し、クラブはその数字を使って選手を評価してきた。しかしこうした“生の”統計は─今ではビッグゲームになればテレビで読み上げられたりもする─実はほとんど無意味なのだ。フォードは走行距離のデータに意味を見いだそうとしていた時期のことを思い返す。「総走行距離と勝利の間に相関関係を見つけることができるだろうか? 答えはまちがいなくノーだ」 タックル数も同じく当てにならない。イタリアの偉大なディフェンダー、パオロ・マルディーニという大問題がある。「マルディーニは2試合に1回しかタックルしませんでした」。フォードは暗い声で説明する。マルディーニはポジショニングが絶妙なので、タックルする必要などないのだ。ファーガソンがスタムを放出したときと同じく、タックル数でディフェンダーを評価することには問題がある。フォードが言う。「ボルトンではたびたびミーティングを繰り返した。今振り返ると『うへえ、よくもまああんなデータを信じてチーム作りなんてできたもんだ』と思うよ。フレイグもデータが手に入りはじめた最初の数年を振り返って結論する。「もっと重要なものに目を向けるべきでした」と。"

データ革命が、欧州サッカーを「マネーボール化」する(その3) – from 『WIRED』VOL.2 « WIRED.jp 世界最強の「テクノ」ジャーナリズム